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いつもアルテナにしてもらっていたひざまくら。 それはとても心地のよいものだった。 ある日クロエは思いついた。 そうだ、アルテナにも心地よくなってほしい。 「アルテナ、ひざまくらさせてください」 「え?」 戸惑うアルテナの手を木陰にひっぱっていって寝かせ、 ひざに頭を横たえさせてゆっくりとアルテナの頭をなではじめる。 これはいったいどういう… アルテナはかつてない困惑に陥る。 クロエはアルテナの頭をなでなでながら優しく言う。 「眠くなったらいつでも眠ってくださいね」 しかしアルテナはひざまくらした事はあってもひざまくらされた事はない。 緊張してしまい思わず手を握り締める。 でも右頬にクロエのやわらかい膝を感じ、 頭や左頬にクロエのひんやりしてくすぐったい手を感じているうちに… クロエに優しく包まれているうちに… アルテナは奇妙な懐かしさを覚える暖かいまどろみを感じて ついつい身を委ねてしまう… 二人は春の木漏れ日の中でうとうとし始めた… |