『サントラ「ララバイ」に見られるアルテナの心情』



雪が降る
静かなララバイ 歌う淡い横顔

閉じ込められた小さな部屋は
愛と呼べる気がしている


言葉もいらなくて
思い出がやわらいで
安らぎなんて知らないけど
一番そこに近い場所で眠りたいだけ
あなたのそばにいる


雪が降る
静かなララバイ そっと夜をうずめて

悲しいことは知りたくないよ
だからずっと歌っていて
夜明けが来るまで
ずっとこのまま

アルテナの歌、ララバイ。

アルテナは 荘園に住んでいながらも、決して心安らげてはいなかった。
でもクロエとの生活は、アルテナに今まで全く知らなかった安寧を教えてくれた。
これはなんなのだろうか? 自分が感じているものはなんなのだろうか?
この世界は業苦に満ち、自分は人の世の真実を知っている。だからグラン・ルトゥールを決心した。
そして子供たちがグラン・ルトゥールへの試練に耐え切れるかどうかはわからない。
でも今傍らですやすや眠るクロエを見る自分の心の中に湧き上がって来るこの感情は何なのだろか?
この、閉じ込められた小さな部屋での、あなたと自分は一体何なのだろうか?

自分はまだ安らげはしない。でも…ここは安らぎに一番近い場所。
だからせめてクロエ、あなたのそばにいさせて…あなたのそばで眠らせて。

クロエに子守唄を歌いながらも、実は子守唄を歌ってほしいのは自分だった。
悲しいことは知りたくない。本当はずっとここで眠っていたい。優しく子守唄を歌ってもらいながら…
でも自分には自ら望んだやるべき使命がある。安らぎなどない。
安らぎなど許されないし、またそもそも安らぎなど感じもしない。
でもせめて、あなたたちといるつかの間のひと時だけは…せめて今だけは…
今はただこのままで… 
あなたたちと一緒に眠りたい。
この閉じ込められた小さな部屋で眠りたい。
願わくば……ずっとこのままで。


アルテナは心の底では無意識の内に、安らぎを求めていた。
優しく包み込まれるように愛されるのを望んでいた。
そういうアルテナの切ない心を本当によく表している歌だと思います。

「暗黒回帰」で、黒キリカをベットに寝かしつけた時、「儀式の準備を始めなければ」でアルテナの声のトーンがわずかに下がったのは、
儀式も何も進めずにずっとこのままであなたたちと暮らしていきたい、でも儀式を経れば、誰かが死んでしまうかもしれない、
もう今のままでは居られないかも知れないという、グラン・ルトゥールへのアルテナのわずかなためらい、逡巡、そして鬱のせいなのです。
そして黒キリカに思いもよらず呼び止められた時、アルテナははっと振り返り言葉を失ってしまう…
今のままにただ真っ直ぐに自らの死へと向かうだけではない、新たにアルテナが生きる道、ほんのかすかかもしれませんが、その道が、
クロエとキリカに呼び止められてはっと驚くアルテナに見えていました。

ですので、その先の可能性を見てみよう、アルテナに癒しと安らぎ、そして救いを与えてあげよう、というのが、
さまざまな場所で行なわれているさまざまなものであると思いますし、またこのサイトもそうです。
「積極的にクロエとキリカに優しくされて照れてしまうもまんざらではないアルテナ」は、みんなアルテナたちの幸せを願っているからなのです。
私もそういう絵や漫画やお話を色々書きました。

そしてこれからも描いていきたいです(笑
また、アルテナが調子に乗って色々やっちゃったり、恥をかいたり、時々いじけたり、ボルヌとマレンヌにぺしぺしされたりするのも、
アルテナが、クロエや黒キリカ、ボルヌやマレンヌたちに素直に心を開く事ができるようになって、
心のままに自由に楽しく過ごしていけるようになっていってほしい、
と願うがゆえであって決してアルテナ様をバカにしているわけではありませんああアルテナ様その袖の
下の銃は一体ああっ(以下は粛清されたので省略されました)


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