雪が降る 静かなララバイ 歌う淡い横顔 閉じ込められた小さな部屋は 愛と呼べる気がしている 言葉もいらなくて 思い出がやわらいで 安らぎなんて知らないけど 一番そこに近い場所で眠りたいだけ あなたのそばにいる 雪が降る 静かなララバイ そっと夜をうずめて 悲しいことは知りたくないよ だからずっと歌っていて 夜明けが来るまで ずっとこのまま |
アルテナの歌、ララバイ。 アルテナは 荘園に住んでいながらも、決して心安らげてはいなかった。 でもクロエとの生活は、アルテナに今まで全く知らなかった安寧を教えてくれた。 これはなんなのだろうか? 自分が感じているものはなんなのだろうか? この世界は業苦に満ち、自分は人の世の真実を知っている。だからグラン・ルトゥールを決心した。 そして子供たちがグラン・ルトゥールへの試練に耐え切れるかどうかはわからない。 でも今傍らですやすや眠るクロエを見る自分の心の中に湧き上がって来るこの感情は何なのだろか? この、閉じ込められた小さな部屋での、あなたと自分は一体何なのだろうか? 自分はまだ安らげはしない。でも…ここは安らぎに一番近い場所。 だからせめてクロエ、あなたのそばにいさせて…あなたのそばで眠らせて。 クロエに子守唄を歌いながらも、実は子守唄を歌ってほしいのは自分だった。 悲しいことは知りたくない。本当はずっとここで眠っていたい。優しく子守唄を歌ってもらいながら… でも自分には自ら望んだやるべき使命がある。安らぎなどない。 安らぎなど許されないし、またそもそも安らぎなど感じもしない。 でもせめて、あなたたちといるつかの間のひと時だけは…せめて今だけは… 今はただこのままで… あなたたちと一緒に眠りたい。 この閉じ込められた小さな部屋で眠りたい。 願わくば……ずっとこのままで。 |