『罪の中の罪』
時代は移り変わろうとも、人の世は変わらない。
地は悲しみに満ちて、人はただ悪をなす。
なのに天は、天は何も語ろうとはしない。
もし神様が本当にいるのなら、もしこの世界に正義が本当にあるのなら、
あの時にこそ私を守ってくれるはずだったのに。
私が傷つけられる事を、神様は決して止めてはくれなかった。
でも、私が傷つける事もまた、神様には決して止められなかった。
そしてこれからも私を止める事は出来ないだろう。
この世界に神はいない。善も、そして悪さえも存在しない。
誰かが罪を背負わねばならない。誰かが、罪を。
もし世界に終わりがあるとしたら、
あの時、あの瞬間にこそ、世界は終わるべきだったのに。
世界は終わらない。
あの瞬間に、私はこの世界に本当に生まれてきたような気がする。
まどろみの眠りの時は終わったのだ。
さあ、起きよう。
人は罪を犯す。
いかにあがこうとも逃れられない。それが人の業なのだから。
私は人を殺せる。
そして私は人を殺す。
私は人を殺さないでいられない。
ならばせめて、人のためにこの手を汚そう。
原初ソルダがあえて犯した罪。
それは人の業に対する贖罪。
私は世界の真実を知っている。
私は世界の真実と共にある。
私は世界を構成する元素を知っている。
私は力を行使する。
ノワールは罪を重ねる。
業の歴史は繰り返される、際限もなく、永遠に。
私は人を殺す。
ノワールは罪を重ねる。
私は人を殺しつづける。
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