荘園の夜。 風邪が直りかけのアルテナに付き添うクロエ。 ベッドで半身を起こしてクロエとなにくれとなくおしゃべりしていたアルテナだが、 さすがに疲れを覚え、ベッドに横たわる。
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チュッ
カタン。扉がしまり、クロエの足音が遠ざかっていく。 アルテナは額に手をあて、まだ残るくすぐったい感触の余韻を味わっていた。 はるか遠く過ぎ去ってしまった昔に同じような感覚、包み込まれるような安心感を味わった気がする…… あれはいつのことだったのだろう? どこでのことだったのだろう? 誰にしてもらったのだろう? 今は何も思い出せない。でも、確かに私はかつてその安らぎの中にいたのだ。 ここで、この荘園で、また同じ安らぎを感じえようとは…… アルテナは不思議な気持ちを覚えながらベッドの中で丸くなった…… |