『食事』




アルテナ達は葡萄をたくさん摘みすぎてしまった。
貯蔵庫で葡萄を樽に仕分けしつつ、余った葡萄はジャムにしましょうかと提案するアルテナ。
わーいと喜ぶクロエと、もぞもぞとうなずくキリカ。
そんなこんなで葡萄ジャムの出来上がり。
荘園の変わり映えの無い質素な食事においしい変化を付けてくれる葡萄ジャム。
葡萄ジャムのある数日間、三人はちょっぴり豪勢な朝食をとる。

クロエはパンを手にとり、アルテナに差し出す。

アルテナ
クロエ
アルテナ
「あなたはもう一人でジャムを塗れるはずよ」
「アルテナに塗ってもらいたいの、昔みたいに、端からジャムが溢れるくらい」
「ふっ……」

アルテナは差し出されたパンを受け取り、ジャムをたっぷり塗ってクロエに返す。
それを見たキリカは、ジャムを塗りかけていた手を休め、アルテナをじいっと見つめる。
キリカの視線に気づいたアルテナは再び微笑み、キリカに手を差し出す……

はむはむと葡萄ジャムパンを両手で持って頬張るクロエとキリカ。
どうせ喉をつまらせるであろう二人のために、アルテナはこぽこぽと紅茶を淹れてあげる。





何枚かジャムパンを食べ、お腹一杯になったキリカは、
欲張って頼んだ一枚を食べかけでお皿に置いたまま、
紅茶の入ったコップを両手で包んで、ちょびちょびすすりながらぽーっとする。
クロエはまだもう一枚食べるようだ。
二人のためにパンにジャムを塗ったり、紅茶を淹れたりで忙しいアルテナ。
二人がまったりモードに入ったらゆっくり食べさせてもらいましょうか。




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荘園でのアルテナとクロエとキリカの何気ない日常の一コマが大好きです。

『食事』の前のお話の、葡萄摘みすぎな三人はこちら。『葡萄坂』

クロエとキリカが食べ物を両手持ちなのは、
きっとサンドイッチを両手持ちなアルテナに育てられたからに違いありません(笑
アルテナから「両手持ち」を継承した真のノワールはとてもラブリーです。
歩さんがアルテナの両手持ち、そしてクロエとキリカへの影響をお考えになりました。
素敵なアイデアをお考えになった歩さん、どうもありがとうございます。
歩さんのSS、小動物っぽくてラブリーな両手持ちアルテナはこちらです。『ピクニック』


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