『刺客逃避行』
とあるつとめを遂行したクロエとキリカ。
撤退時に大勢の敵に囲まれ、思わぬ苦戦を強いられる。
森に入り、逃避行を続ける二人。
キリカは樹にへたり込む。
駆け寄るクロエ。
深手を負い、気が弱くなっていたキリカはクロエに己の心を吐露する……
「ずっと怖がらないで……」
「ええ……」
「ずっと嫌わないでいてクロエ……」
「ええ、キリカ……」
「受け入れましょう、あなたのすべてを。
だからキリカ、あなたも……
私をちゃんと受け入れて」
「はっ…… うん。
……ありがとう」
しばらく休んだのち、
二人は敵の包囲網を突破すべく立ち上がる。
何とか追っ手を逃れた二人は、
深い森のとある泉で血と埃にまみれた体を洗う。
さあ、帰ろう。
アルテナの待つ荘園へ。
葡萄畑で手入れをしていたアルテナはふと顔を上げた。
荘園の彼方にまで広がる青い空、流れる白い雲。
風がそよいだ。
もうすぐ愛しい娘たちが帰ってくる。
あの子たちのために熱いお茶をいれてあげよう。
アルテナは微笑み、家への道を急いだ。
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