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二階の埃だらけの書庫の、とある本棚の間の狭い通路の奥には狭い窓がある。 そこを潜り抜けると、建物の外壁から張り出した小さな半円形のテラスに出る。 そのテラスには訪れる人が長らく居なかった。 二階にあるテラスには大きな樹の枝がせり出しており、落ち葉が何層にも積もっていた。 テラスは樹に覆われ強い日差しから守られているおかげで涼むのにほどよく、 また葡萄畑から遠くの山々まで見渡す事も出来る。 アルテナはそこをひそかに手入れして、秘密のくつろぎスポットにしていた。 とある日、春の陽気に誘われて、一人テラスに訪れ静かにお花見をするアルテナ。 しかしたまたまアルテナを探していたクロエとキリカに気配を察知されあえなく発見される。 だから三人でお花見。 パンと水を持ち込んで、花を観ながらお昼ご飯。 お腹が膨れた二人はやわらかな草の上に寝そべり、暖かい空気に身を委ねる。 思わぬ陽気にクロエは鼻の頭に汗をかく。 気づいたアルテナはハンカチを取り出し、クロエの顔を拭いてあげる…… そんな感じの情景です。 荘園に桜の木は多分無いと思いますが、その辺りは適当です(笑 フランスの高地にも春に花を咲かせる樹はある……んじゃないかなあと。 与えられる事が喜びなら、与える事もまた喜び。 自分にとって大切な人に何かをしてあげられるのはとても幸せな事だと思います。 そしてアルテナにとってクロエとキリカに触れる事はさらに心の安らぐ事なのだと思います。 触れられるクロエ達が得る安らぎと同じくらいの安らぎを、 触れるアルテナもまた得ているのだと思います。 |